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nPM2100 EKを使ってみた

2025.10.20

こんにちは。
加賀デバイスのNordic Teamです。

以前コラムで紹介したnPM2100の評価ボード(nPM2100 EK)を入手したので、実際に測定した結果なども交えてnPM2100の特徴を改めて紹介したいと思います。

nPM2100は一次電池向けの極めて効率的な昇圧レギュレータを内蔵したPMICです。

 nPM2100紹介ページ

入力電圧は0.7~3.4Vで、1.8~3.3Vの範囲で最大150mAを出力できる昇圧コンバータを1つと、0.8~3.0Vの範囲で最大50mAを出力できるLDOを1つ搭載しています。


nPM2100で測定された電池電圧や温度データと、nRF Connect SDKで用意されているnRF Fuel Gauge libraryを用いる事で、ある程度正確な電池残量の検出が可能となっています。
Fuel Gaugeについては下記ドキュメントに詳しく記載されているのでご参照頂ければと思います。

 Using the nPM2100 Fuel Gauge

低消費電流の機能として、35nAのShip modeと175nAのHibernate modeを持ちそれらを使用する事で製品の電池寿命を延ばす事が出来ます。
Ship modeを使えば電池を挿したままでも電池の消耗がほとんどないため、今まで電池の保護用に使用していた絶縁用のプルタブなどが不要になり、そのまま出荷や保管ができます。
Hibernate modeはタイマー動作で復帰が可能なため、定期的(設定可能時間:16ms~74.5hour)に起きて動作をさせたいときに有効となります。

また、サイズも1.9×1.9mmのWLCSPと4×4mmのQFNパッケージがあり、WLCSPであれば周辺の受動部品を入れても5mm×5mmの範囲で収まる設計が可能です。
nPM2100のデータシートに記載の推奨回路そのままの設計が、nPM2100 EKに実装されています。

回路設計のガイドライン資料もありますので、合わせてご参照頂ければと思います。

  nPM2100 Hardware Design Guidelines

それでは早速nPM2100 EKを使用してnPM2100の実力を見てみたいと思います。
nPM2100 EKはnRF Connect for Desktopの”nPM PowerUP”で色々な機能の使い方の確認が出来ます。

◢◤nPM PowerUP
単三電池を接続したnPM2100 EKをパソコンに接続して、nPM PowerUPを起動させると下記のような画面が表示されます。

評価ボードでは、電池のコネクタ横のLEDで電池残量を表しています。
nPM PowerUPの左上のFuel Gaugeでは%表記で電池残量が確認出来、右上のBattery Statusでは実際の電圧が表示されています。

Boostで1.8Vを設定して実際に測定してみた結果が下記となります。

設定の1.8Vより若干高い値となっていますが、データシートを確認すると動作モードによっては50mV程度高くなることがあるようです。今回はその影響によるものと思われます。


次はLDOで0.8Vを設定して実際に測定してみた結果が下記となります。

◢◤低消費電力モード
 低消費電力モードは大きく分けてSHIPモードとHibernateモードの2つがあり、その2つの中でも設定の違いによりさらに2つに別れます。

 ・SHIPモード:製品の保管・輸送時に使う、最も低消費電力な完全シャットダウン状態。
 ・Break-to-wakeモード :SHPHLDピンをGNDに接続してSHIPモードに入り、接続が切れると起動。

 ・Hibernateモード:一部機能を維持しながら超低消費電力で待機して、復帰が速い。
 ・Hibernate_PTモード:Hibernateモードの一種で、PT(Power Transfer)機能を維持しながら待機。

下記が消費電力を実際に測定した結果となります。
PPK2では電流測定の分解能が足りないため、別の測定器(Otii)で測定した結果となります。
高精度の電流測定器ではないためかなりノイズが乗った波形となっていますが、データシートに記載の値に近い結果となっています。


このようにnPM2100を使用すれば低消費電流動作が可能でさらにバッテリーの寿命を最大限まで延ばすことが可能となります。


nPM2100およびNordicのPMICにご興味がございましたら弊社の お問い合わせ にご連絡ください。

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