Nordic

Nordic  Power Profiler KitⅡ(PPK2)によるnRF9160の電流測定【追記】

2023.09.28

<2023/9/28 追記>

こんにちは。
加賀デバイスのNordic Teamです。

*過去に掲載したNordicが提供する消費電流測定ツールPower Profiler KitⅡ(PPK2)を使用したnRF9160 DKの消費電流測定方法についてeDRX中にシャットダウンするSIMを入手したのでその内容を追記します。

Nordicが提供する消費電流測定ツールPower Profiler KitⅡ(PPK2)を使用したnRF9160 DKの消費電流測定方法についてご紹介します。

セルラー通信では低消費電力が求められる事が多いことから、実際にnRF9160がどの程度の実力があるかも併せてご紹介したいと思います。

◢◤PPK2及びOnline Power Profile

PPK2とOnline Power Profileについては以前に別のコラムで紹介しておりますのでそちらをご参照頂ければと思います。

◢◤Online Power Profilerと仕様書の比較

実際に測定する前に仕様書やOnline Power ProfilerでnRF9160がどの程度の実力があるか確認します。

仕様書ではeDRXの値が18μAと記載されています。

Online Power Profileで仕様書に記載されている測定条件に合わせてシミュレーションした結果は17.84μAとなり、ほぼ仕様書と同等の値を示しています。

◢◤測定

接続図を示します。

仕様書に記載されている測定条件に合わせてeDRXの消費電流を測定したところ、下記のようになりました。

仕様書の18μAと比べて66.29μAと大きな値となっています。電流値が大きくなってしまう主な原因は
下記の3つが考えられます。

   ①PTW期間のPOが2回発生
   ②PTW期間のPDCCHが1msではなく32ms
   ③SIMがシャットダウン出来ていない

①と②は基地局からの情報をもとに設定されるため変える事は出来ません。
少なくとも弊社は色々な地域で試してみましたが条件は変わりませんでした。
③はシャットダウンに対応しているSIMかどうかに依存します。
残念ながらnRF9160に付属しているSIMはシャットダウンに対応していませんでした。

上記を加味して再度電流測定をします。具体的には下記を変更します。
   ①の対応として、PTWの期間を2.56sではなく1.28sに変更
   ②の対応として、Online Power ProfileのPDCCHを32msに変更
   ③の対応として、nRF9160 DKのSIM電源を外部電源から供給

実際にこの内容を反映させて検証してみたいと思います。

◢◤再測定

Online Power ProfileでのシミュレーションでPDCCHを32msに変更すると消費電流値は32.40μAとなりました。

SIMの電源供給をnRF9160からではなく、外部の安定化電源から供給します。

この接続でPTWを1.28sにして測定を行った結果が下記となります。

Online Power Profileでのシミュレーションの32.40μAとほぼ同等の値となりました。

◢◤SIMによる消費電流の違い【追記】

nRF9160 DKに付属のiBasisのSIMと、国内で入手可能なMVNO:3社のSIMを使用した消費電流の違いを比較します。
測定条件は同様にeDRX=81.92s/PTW=1.28sで測定します。
 *冒頭に記載したeDRX中にShutdown可能なSIMは右下のC社となります。

SIMだけの電流を測定するため、下記のように接続を変えます。

測定結果は下記です。

 *30秒毎のパルスはSIMとnRF9160との通信です。

上記結果の値をまとめた表です。

eDRXの平均電流は、iBasisとA社はほぼ同じような値となりました。
B社は他の測定とくらべて10uA程度高くなっています。
C社に関しては他の半分以下の電流値となっています。

SIMのみの電流値はeDRXの平均電流と同じ傾向となり、iBasisとA社はほぼ同じで、B社だけ少し高く、C社に関しては1uA以下となっています。
 *SIM電圧は1.8Vのため、電力換算で計算するとSIMのみの電流値の約半分の値がeDRX中の平均電流(3.7Vで測定)に含まれていると考えられます。

これらの結果からSIMがShutdownする事で低消費電力動作に大きく影響する事が分かります。

仕様書に記載されている値はシミュレータ機器を使用した理想的な値となります。
実際の環境では、基地局との接続設定/SIMの設定/電波感度/周囲温度などによって増減します。
そのため仕様書の値やシミュレータの値はあくまでも参考程度に考えて頂き、実際の環境で電流値を測定する事をお勧めいたします。

nRF9160にご興味頂けましたら詳細の説明及びデモも可能ですのでお問い合わせ頂ければと思います。

今後もNordicの紹介及びコラムにて色々な情報を公開致しますので是非ご確認ください。

また、Facebookでも随時情報を公開しておりますので合わせてご確認ください。

Nordic コラム一覧

株式会社ムセンコネクトが書籍『Bluetooth 無線化講座』を出版

関連記事