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nRF Cloud その6 -Location Service-

2025.11.04


こんにちは。
加賀デバイスのNordic Teamです。

nRF Cloudコラムシリーズですが、今回はLocation Serviceの機能について記事を書きたいと思います。

nRF Clouldでは Location Serviceの機能 としてAssisted GNSS(以降A-GNSS)・Predicted GNSS(以降P-GNSS)・Single-cell Location(以降SCELL)・Multi-cell Location(以降MCELL)・Wi-Fi Locationの機能を提供しています。

A-GNSSやP-GNSSを使用することで測位時間を早める事が出来ます。
CellベースのLocationを使用することでGNSSが届かない屋内でもデバイスの位置情報をある程度の範囲で特定することが出来ます。
また、Wi-FiベースのLocationを使用する事でCellベースのLocationよりさらに精度良く屋内での位置情報の取得が可能となります。

それではそれぞれの機能についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。

◢◤A-GNSS & P-GNSS

nRF91シリーズのGNSS機能を使う事で位置情報を取得することは可能ですが、通常のGNSSでは50bit/sという低データレートのため測位までに時間がかかってしまいます。
そのためA-GNSSやP-GNSSを使い、事前に衛星のデータをLTE経由でnRF Cloudから取得する事で測位時間を早める事ができます。

  Cloud-assisted implementation using A-GNSS and P-GNSS

nRF CloudのA-GNSSとP-GNSSのライブラリについては下記で説明しています。
 *ドキュメントではP-GPSとなっていますが、P-GNSSと同意義となります。

  A-GNSS

  P-GPS

A-GNSSとP-GNSSの主な違いはデータ更新のタイミングです。
A-GNSSは最大で4時間(平均して2時間)ごとにデータ受信しますが、P-GNSSは最大で2週間分(ライブラリのデフォルトでは1週間分)のデータをまとめて受信します。
A-GNSSは頻繁にLTE接続が発生しますが、P-GNSSはまとめてデータを受信するため低消費電力に向いています。
ただし、P-GNSSは2週間分のデータを保存する為のある程度のメモリ領域を使用します。1週間分であれば約84kByte程度必要となります。
測位時間についてはA-GNSSの方が常に最新のデータを扱えるためP-GNSSと比べると早くなります。
まとめると下記のようになります。

実際にnRF Connect SDKの GNSS のサンプルプロジェクトを使用して、GNSSのTTFFとA-GPS/P-GPSのTTFFを測定してみたいと思います。
 *TTFFの値は、測定場所や測定環境に大きく依存するため、参考程度に見て頂ければと思います。

下記がプログラムを書き込んだ直後のTTFFの値となります。

〇GNSS:30秒±5秒程度

〇AGPS:5秒±3秒程度

〇PGPS:60秒±20秒程度

GNSSは仕様書に記載の値(TYP:30.5s)に近い値となりました。
AGPSは実際にはLTE経由でのダウンロード時間も含まれていると思われますが、数秒単位とかなり早く測位が出来ています。
PGPSはLTE経由のダウンロード時間がかなりかかっていますが、ダウンロード時間を差し引くと平均して10秒程度で測位出来ていました。

続いて、評価ボードのリセットボタンを押した時のTTFFそ測定してみました。

〇GNSS:30秒±5秒程度

〇A-GPS:2秒±2秒程度

〇P-GPS:10秒±3秒程度

GNSSはプログラム書き込み直後TTFFと変わらない値となりました。
A-GPSはプログラム書き込み直後のTTFFは早かったのですが、そこから1-2秒程度早くなってい感じでした。
P-GPSはアシストデータのダウロード時間がなくなった分、プログラム書き込み直後と比べるとだいぶ早くなっています。


◢◤SCELL & MCELL

CELLベースの位置測位では、CELL=基地局の情報(MCC,MNC,ECI,TACなど)をもとに位置情報を取得します。
GNSSの機能を使わないため低消費電力にはなりますが、位置情報の精度はGNSSと比べるとかなり悪くなります。

  Location based on cells

nRF CloudのSCELLとMCELLのライブラリについては下記で説明しています。

  nRF Cloud location

SCELLとMCELLの違いは言葉の通り、CELL情報を1個しか使わないものをSCELLと呼び、複数使うものをMCELLと呼びます。MCELLの方が精度は良くなりますが、それでも数10m~数100m単位での誤差は発生してしまいます。

◢◤Wi-Fi Location

Wi-Fi LocationはWi-FiのアクセスポイントのMACアドレスを使用して位置情報を取得します。
屋内での使用が可能で、CELLベースより位置情報の精度は良くなります。
nRF91シリーズにはWi-Fi機能は搭載されていないため、nRF70シリーズと組み合わせて使用することになります。

nRF CloudのライブラリはCELLベースと同じものとなります。

  nRF Cloud location

◢◤Application Serverからの位置情報の取得

Location Serviceではデバイスからではなく、Application ServerからnRF CloudのREST APIを仕様して位置情報を取得する事も可能です。

  nRF Cloud REST API

今回試すAPIは”Ground Fix”です。

  Ground-Fix

このAPIは基地局の情報やWi-FiのMACアドレスから位置情報を取得します。

まずは基地局の情報から位置取得をしてみたいと思います。
Ground-Fixのコマンドでは様々なパラメータが選択できますが、基地局を使用した位置情報取得では”eci”,”mcc”,”mnc”,”tac”の4種類が必須であとはオプションとなっています。
 *”eci”,”mcc”,”mnc”,”tac”は、AT%XMONITORなどのコマンドで確認が可能です。

下記が試した結果となります。

座標(緯度:35.70124269、経度:139.7753191)をGoogle MAPなどで確認すると弊社ビル付近の座標を示しています。

続いてWi-FiのLocationを試してみたいと思います。
Wi-Fiを使用した位置情報取得では”macAddress”のみが必須であとはオプションとなっています。
下記が試した結果となります。

座標(緯度:35.7011308、経度:139.7751992)をGoogle MAPなどで確認すると弊社ビルを示しています。

このようにnRF Cloudではデバイスを使った位置情報の取得も可能ですし、デバイスを使わずApplicaton Serverから基地局の情報やWi-FiのMACアドレスを使い位置情報の取得も可能となっています。

nRF Cloudにご興味ございましたら弊社のお問い合わせ にご連絡ください。

今後もNordicの紹介及びコラムにて色々な情報を公開致しますので是非ご確認ください。

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