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nRF9151の消費電流

2025.01.14


こんにちは。
加賀デバイスのNordic Teamです。

nRF9151がリリースされてから、”nRF9160と比べて消費電流はどれくらい変わっているのか?”とのお問い合わせを多く頂いているので、今回のコラムでは実際に測定した結果を記事にしてみたいと思います。

◢◤仕様書での比較

まずは仕様書のスペック比較です。
低消費電力動作であるPSMとeDRX時の消費電流について比較してみたいと思います。
 *PSMとeDRXの動作について以前コラムを書きましたのでご興味があればご参照ください。

〇nRF9160:Modem Current consumpition

nRF9160:Modem current consumption

〇nRF9151:Modem Current consumpition(Power Class:5)

nRF9151:modem current consumption


PSMのフロアー電流およびeDRXの平均電流について仕様書では特に違いがありません。

続いて、本当にnRF9160とnRF9151で消費電流に違いが無いのか実測してみたいと思います。

◢◤実測での比較

〇測定環境

  ソフトウェア   :Serial LTE Modem(nRF Connect SDK v2.9.0 )
  ハードウェハ   :nRF9160 DK / nRF9151 DK
  Modem Firmware :MFW1.3.7(nRF9160用) / MFW2.0.2(nRF9151用)
  電流測定ツール  :Power Plofiler KitⅡ
  電源電圧     :3.7V

〇測定結果

まずはPSM(Periodic TAU:5分、Active Timer:2分)のフロアー電流を測定してみます。

<nRF9160のPSMの電流測定>

<nRF9151のPSMの電流測定>

PSMのフロアー電流に関しては大きな違いは見受けられませんでした。

続いてeDRXの測定です。
設定は eDRX Cycle:81.92秒、Paging time Window:1.28秒 で比較してみます。

<nRF9160のeDRXの電流測定> 

<nRF9151のeDRXの電流測定> 

eDRXに関してはnRF9151の方が低い値となりました。

これはMWFの違いによるもので、Paging time Window中の動作に違いがあります。

◢◤Power Classの切り替え

nRF9151では最大送信出力をATコマンドでPower Class:3(23dBm)もしくはPower Class:5(20dBm)に切り替える事が出来るようになりました。

  AT%POWERCLASS

これにより、基地局サーチの時などに消費電流が抑えることが可能となります。
実際にPowar Class3(23dBm)とPower Class5(20dBm)でどれくらい消費電流が違うか見てみたいと思います。

<Powar Class3(23dBm)>

 

<Powar Class5(20dBm)>

Power Class3ではピークで400mA近く流れていますが、Power Class5では250mA程度となっています。


ただしこのPower Classの違いが影響してくるのは、電波環境が悪くnRF9151が送信出力をあげる必要があるときのみで、電波環境が良い場所では影響がありません。
実際に電波環境が良い場所での電流値の比較が下記となります。

<Powar Class3(23dBm)>*電波環境が良い場合

<Powar Class5(20dBm)>*電波環境が良い場合

電波環境が良い場所ではnRF9151も送信電力を抑えているため、Power Class3および5ともに最大電流値が100mA程度とほぼ一緒の値となります。

◢◤SIMのシャットダウン動作

以前のコラムでeDRX中のSIMのシャットダウン動作にかかわるATコマンドとしてAT%XDATAPRFLを紹介致しましたが、MFW2.0.2以降ではAT%UICCPOWERSAVEというコマンドが追加されました。

  AT%UICCPOWERSAVE

AT%XDATAPRFLではSIMのEF-AD情報をもとにシャットダウンする/しないを判断していましたが、
AT%UICCPOWERSAVEを使用するばEF-AD情報に関係なくSIMをシャットダウンすることが可能となります。
実際にeDRX中にシャットダウンしないSIMを使用してこのATコマンドを試してみました。

<AT%UICCPOWERSAVE=0の場合>*EF-ADの情報通りの動作

 

<AT%UICCPOWERSAVE=3の場合>*強制的にシャットダウン

AT%UICCPOWERSAVE=0の時であれば平均電流は60μA程度となりますが、AT%UICCPOWERSAVE=3を設定した場合では、25μA以下となりSIMがシャットダウンしていることが確認できます。

このようにnRF9151はデータシート上ではnRF9160と違いがあまり無いように見えてしまいますが、実際に電流値を測定すると大きな違いが出てきます。
またnRF91x1用のATコマンドで新しく追加されたATコマンドを使用することでさらに低消費電流を実現する事が可能となります。

この記事やnRF9151にご興味ございましたら弊社の お問い合わせ にご連絡ください。

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