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Nordicが提供する2つのEdge AI

2026.08.03


こんにちは。
加賀デバイスのNordic Teamです。

生成AIの普及により、AI技術はこれまで以上に身近な存在になりました。
一方で、IoTや組込み機器の世界ではクラウド上でAIを実行するだけでなくデバイス自身がAI処理を行うEdge AI が注目されています。

例えば、このようなアプリケーションがあります。

これらのアプリケーションでは、リアルタイム性や低消費電力、通信コスト削減の観点からデバイス内でAI推論を行うことが求められています。
NordicもEdge AIを重要な戦略分野と位置付けており、その中核となる技術として下記のソリューションを提供しています。

・Neuton
・Axon NPU

しかし、この2つは同じAI技術ではありません。
今回は、それぞれの役割や違い、そしてどのような用途に適しているのかを解説したいと思います。


◢◤Edge AIへの2つのアプローチ

一口にEdge AIと言っても、求められる処理能力によって大きく2つの領域に分けることができます。

AIの種類代表的な用途
軽量AI異常検知、予知保全、姿勢認識、センサーデータ解析
高性能AI音声認識、画像分類、物体検出、キーワードスポッティング

例えば、モーターの振動異常検知やモーション検知では比較的小規模なモデルで十分な場合があります。
一方で、「OK Nordic」のようなウェイクワード検出などでははるかに大きな計算量が必要になります。
Nordicはこの2つの領域に対し、それぞれ異なるアプローチを提供しています。

◢◤Neuton:小さなAIを手軽に実現

Neutonは、センサーデータから小型のAIモデルを生成するための開発ツールです。
Neutonのモデル作成はNordic Edge AI Labというwebツール上で行います。
Nordic Edge AI Labは登録すればだれでも無料で使用することができます。

生成されたモデルは非常にコンパクトで、わずか数kBのROMしか使用しない為、アプリケーション領域を圧迫することなくAIを実現できます。
NeutonはnRF52,nRF53,nRF54Lシリーズ,nRF91シリーズなどのCPU上で直接実行できます。

Neuton最大の魅力は、AIの専門知識がなくても利用しやすいことです。
従来のAI開発では、モデル選定、学習・評価・最適化といったAI開発の専門知識が必要でした。
Neutonでは、センサーデータを投入することで小型モデルを生成できるため、AIエンジニアでなくても比較的容易にAI機能を組み込むことができます。

Neutonは時間経過に伴う値として定期的にサンプリングできる、加速度、IMU、PPG、温度、各種電気計測など、様々なセンサーからの時系列データに対応しています。

Neutonは例えば、下記のようなアプリケーションに向いています。
これらの用途では「AIは使いたいが、複雑なAI開発環境は導入したくない」というケースが少なくありません。
Neutonはまさにそのようなニーズに適したソリューションです。

アプリケーション
異常検知モーター監視
予知保全ベアリング劣化検出
モーション認識点灯検知
環境監視温湿度異常検知
ウェアラブル活動量推定
スマートホーム人感検知

◢◤Axon NPU:より高度なAIを実現

一方で、音声認識や画像認識はNeutonだけで実現できる領域ではありません。
こうした用途では一般的にTensorFlow、PyTorchといったAI開発フレームワークを利用します。

そこで活躍するのが、nRF54LM20Bに搭載されるAxon NPU(Neural Processing Unit)です。
(nRF54LM20Bの詳細についてはこちらのコラムをご参照ください。)

Axon NPUはAI演算専用に設計されたハードウェアアクセラレータです。
通常のCPUでもAI推論は実行できますが、AI処理は大量の行列演算を必要とするためCPUだけでは処理速度や消費電力の面で限界があります。
Axon NPUを利用することで、「より高速な推論」「より低い消費電力」「CPU負荷の低減」を実現できます。

AI開発フレームワークで作成した学習モデルをAxon NPUで実行するには、LiteRTモデルに変換する必要があります。
この変換にもNordic Edge AI Labが使用できます。
ここで登場するLiteRTとはGoogleが提供するAIモデル実行環境です。
LiteRTがAIモデルを実行し、計算量の大きい部分をAxon NPUが高速化するという仕組みです。

Axon NPUはこのようなアプリケーションに有効です。

アプリケーション
ウェイクワード検出「OK Nordic」などの起動ワード認識
キーワードスポッティング「ON」「OFF」などの音声コマンド認識
画像分類カメラ画像から対象物を分類
物体検出人、荷物などの検出
セキュリティ機器ドアベルカメラ、防犯カメラ
ロボティクス自律移動ロボットの周辺環境認識

◢◤NeutonとAxon NPUの違い

ここまでの内容をまとめると、両者の違いは次のようになります。

項目NeutonAxon NPU
役割AIモデル作成AIモデル実行
主な対象時系列センサーデータ解析音声認識・画像分類
AI知識ほとんど不要必要
実行場所CPUNPU
主なデバイスnRF52,53,54L,nRF91nRF54LM20B
導入難易度
キーワード小型AIモデル高性能推論

繰り返しとなりますが、NordicのEdge AIは、大きく2つのアプローチで構成されています。

Neuton:AIの専門知識がなくても小型AIを導入できる技術

Axon NPU:高度な音声や画像AIを効率的に実行する技術

極端に言えば、

「AIをこれから始めたいならNeuton」

「本格的な音声AIや画像AIを実現したいならAxon NPU」

とご認識ください。

今後のIoT機器では、「データを収集するだけ」のデバイスから、「データを理解して判断する」デバイスへの進化が進んでいくでしょう。
その中でNeutonとAxon NPUは、それぞれ異なるアプローチでNordicのEdge AI戦略を支える重要な技術と言えます。

NordicのEdge AIについて詳しい情報が欲しい方は弊社のお問い合わせ にご連絡ください。

今後もNordicの紹介及びコラムにて色々な情報を公開致しますので是非ご確認ください。

また、Facebookでも随時情報を公開しておりますので合わせてご確認ください。

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