メッシュネットワークプロトコル Thread のご紹介

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 先日発売された iPhone 15 Pro に搭載されたことで、にわかに業界をざわつかせた Thread(スレッド) について簡単にご説明したいと思います。Threadとは、主に家庭やビルネットワーク向けの安全で信頼性の高いメッシュネットワーク規格です。 なお、Threadは機能適合性の証明の為、Thread groupという団体から認証を得る必要があります。 【Threadの特徴】 ・IEEE 802.15.4 PHY/MAC ・IPv6対応(インターネットプロトコル) ・メッシュネットワーク ・低消費 Threadは大別すると下記のようなロール(役割)を持ちます。 ルータ同士をつなぐことでバケツリレー式に遠距離伝送を可能にしており、障害が発生した際に自動で別経路に迂回するメッシュネットワークを構成できます。 エンドデバイスはバケツリレーには参加しませんが、通信を制限する事で電力を節約できます。 またThreadには OpenThreadと言う、Googleによって開発され、GitHubでメンテナンスされているThreadネットワークプロトコル技術のオープンソースを公開しています。 Nordicは2016年のOpenThread公開当初からOpenThreadプロジェクトに参加しており、Nordic製品でThreadを実現する為の、サンプルソフトを準備しています。 サンプルソフトではnRF52840 と nRF5340 と言うチップをサポートしています。 また、このThreadは何度かコラムでもご紹介しているMatterで使用されるプロトコルでもあります。 AppleがiPhone 15 pro に搭載されたThreadをどのような用途に使うかまだ公開されていませんが、Matterに関係してくるのではないかと期待しています。 ThreadやMatterにご興味頂けましたらお問い合わせ頂ければと思います。 今後もNordicの紹介及びコラムにて色々な情報を公開致しますので是非ご確認ください。 また、Facebookでも随時情報を公開しておりますので合わせてご確認ください。

Nordic  Power Profiler KitⅡ(PPK2)によるnRF9160の電流測定【追記】

<2023/9/28 追記> こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 *過去に掲載したNordicが提供する消費電流測定ツールPower Profiler KitⅡ(PPK2)を使用したnRF9160 DKの消費電流測定方法についてeDRX中にシャットダウンするSIMを入手したのでその内容を追記します。 Nordicが提供する消費電流測定ツールPower Profiler KitⅡ(PPK2)を使用したnRF9160 DKの消費電流測定方法についてご紹介します。 セルラー通信では低消費電力が求められる事が多いことから、実際にnRF9160がどの程度の実力があるかも併せてご紹介したいと思います。 ◢◤PPK2及びOnline Power Profile PPK2とOnline Power Profileについては以前に別のコラムで紹介しておりますのでそちらをご参照頂ければと思います。 ◢◤Online Power Profilerと仕様書の比較 実際に測定する前に仕様書やOnline Power ProfilerでnRF9160がどの程度の実力があるか確認します。 仕様書ではeDRXの値が18μAと記載されています。 Online Power Profileで仕様書に記載されている測定条件に合わせてシミュレーションした結果は17.84μAとなり、ほぼ仕様書と同等の値を示しています。 ◢◤測定 接続図を示します。 仕様書に記載されている測定条件に合わせてeDRXの消費電流を測定したところ、下記のようになりました。 仕様書の18μAと比べて66.29μAと大きな値となっています。電流値が大きくなってしまう主な原因は下記の3つが考えられます。    ①PTW期間のPOが2回発生   ②PTW期間のPDCCHが1msではなく32ms   ③SIMがシャットダウン出来ていない ①と②は基地局からの情報をもとに設定されるため変える事は出来ません。少なくとも弊社は色々な地域で試してみましたが条件は変わりませんでした。③はシャットダウンに対応しているSIMかどうかに依存します。残念ながらnRF9160に付属しているSIMはシャットダウンに対応していませんでした。 上記を加味して再度電流測定をします。具体的には下記を変更します。   ①の対応として、PTWの期間を2.56sではなく1.28sに変更   ②の対応として、Online Power ProfileのPDCCHを32msに変更   ③の対応として、nRF9160 DKのSIM電源を外部電源から供給 実際にこの内容を反映させて検証してみたいと思います。 ◢◤再測定 Online Power ProfileでのシミュレーションでPDCCHを32msに変更すると消費電流値は32.40μAとなりました。 SIMの電源供給をnRF9160からではなく、外部の安定化電源から供給します。 この接続でPTWを1.28sにして測定を行った結果が下記となります。 Online Power Profileでのシミュレーションの32.40μAとほぼ同等の値となりました。 ◢◤SIMによる消費電流の違い【追記】 nRF9160 DKに付属のiBasisのSIMと、国内で入手可能なMVNO:3社のSIMを使用した消費電流の違いを比較します。測定条件は同様にeDRX=81.92s/PTW=1.28sで測定します。 *冒頭に記載したeDRX中にShutdown可能なSIMは右下のC社となります。 SIMだけの電流を測定するため、下記のように接続を変えます。 測定結果は下記です。  *30秒毎のパルスはSIMとnRF9160との通信です。…