Nordic nRF91シリーズ LTE通信ログの取得方法

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 ネットワーク機器やIoT機器の開発していると様々トラブルに遭遇する事があります。実際に弊社にも下記のような様々な問い合わせがあります。 ・基地局は見つけられるが、そこから先が接続出来ない。 ・接続までに時間がかかる。 ・基地局までは接続出来ているが、その先のクラウドアプリケーションと通信が出来ない。 ・通信中に何かしらの理由で、急に切断される。そのようなトラブルの時に基地局とどのようなやり取りをしているか通信ログを見たいと思った事はありませんか? Nordic セルラーIoTモジュール nRF91シリーズでは、Modem Traceの機能を使ってLTEの通信ログを見る事が出来ます。この機能ではATコマンド、無線リソース制御(RRC)、非アクセス層(NAS)、およびインターネットプロトコル(IP) レベルまで可視化出来ます。 通信ログはUARTポート経由とSWDポート(デバッグポート)経由の2種類から選択可能となっています。どちらを使用しても通信ログは取得可能ですが使用するツールが異なります。 UARTポート経由の場合は、Nordicのツールがそのまま使え、実際の動きをWireshark(通信ログ)を見ながら評価が出来ます。そのためATコマンドを入力したり、クラウドアプリケーションからの指示を試しながら、動作がどのように変化するかすぐに確認出来ます。 SWDポート経由の場合は、Segger社のJ-Link RTT Loggerを使用します。SWDポート経由は使用するツールが違うため実際の動きを見ながらの評価は出来ません。取得したデータを後で解析する形で通信ログが確認可能です。メリットとしてはUARTが占有されないため通信ログ取得以外にUARTポートを使用する事が可能となります。 実際にそれらのポートから通信ログを取得してみたいと思います。評価に使用したソフトウェアは、Nordicの開発環境:nRF Connect SDKの中になるSerial LTE Modemを使用しました。 ◢◤UARTポート経由の場合 UARTポート経由で通信ログを取得するためには、nRF Connect SDKのバージョンによって設定方法が変わってきます。nRF Connect SDK v2.4.2以前まではソフトウェア(prj.confファイル)に下記項目を追加する必要があります。  CONFIG_NRF_MODEM_LIB_TRACE=y nRF Connect SDK v2.5.0以降であればビルド設定のSnippetsに”nrf91-modem-trace-uart”を追加します。 またPCソフトはnRF Connect for DesktopのCellular monitorを使用します。Cellular monitorを最初に起動させると下記のような画面が表示されます。 SDKのバージョン(v2.0.1以上)やModem firmwareのバージョン(1.3.1以上)の指定があるためご注意下さい。 起動後にデバイスを接続すると下記の画面となります。 “Start”ボタンを押すと通信ログの取得を開始します。下記のような画面が表示されて接続に時間がかかる場合はリセットボタンを押してみて下さい。 ATコマンドに対応したソフトウェアであれば、”start”ボタンの下にある”Refresh dashboard”(青色の枠)を押す事で、下記画面中央から右に示されているような、どのキャリアに接続しているか・電波強度はどの程度か・デバイスのIMEI・SIMのIMSI/ICCIDなどの様々な項目が確認出来ます。 左メニューバーの中段にある”Open in wireshark”(黄色の枠)のスライドバーをONして”start”ボタンを押すと、wiresharkも同時に起動するため実際に機器を動かしながら通信ログを見る事が出来ます。Wiresharkが起動しても左メニューバーのCONNECTION STATUSのTRACEにチェックマークが入らない場合は、一度リセットボタンを押してみて下さい。 通信ログは左メニューバーにある”RAW file name”(緑色の枠)で保存されます。クリックすると保存先フォルダにジャンプしてファイルが確認出来ます。 保存された通信ログはそのままでは見れないためファイル変換が必要となります。ファイル変換はCellular monitorを起動させた時(デバイスの接続前)の左メニューバーの”Open frace file in Wireshark…”(紫色の枠)で見る事が出来ます。…

さくらのモノプラットフォームをnRF9160 DKで使ってみた!

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 IoT製品を用いたシステム開発では、ソフトウェア開発・ハードウェア開発・IoTプラットフォーム開発・クラウドアプリケーション開発など様々な開発が必要となってきます。そこで、これら開発を効率良く・短期間で出来るサービスの”さくらのモノプラットフォーム”について紹介させて頂きたいと思います。 さくらのモノプラットフォームの特徴としては、下記などがあげられます。 ・さくらのモノプラットフォームでは、デバイスの管理、IoTデバイスとのデータやファイルの送受信、クラウドサーバーとのデータの中継などの様々な機能が準備されています。・さくらのセキュアモバイルコネクト(閉域網)と組み合わせ使用する事でセキュリティが高いIoTプラットフォームを提供するサービスとなります。さらにセキュアモバイルコネクトはマルチキャリア対応しているため電波障害発生時のリスクヘッジも出来ます。・IoT開発に必要なソフトウェア・ハードウェアの設計情報を提供しており、IoTデバイスの開発の負荷を軽減し早期に製品を立ち上げる事が可能です。 このさくらのモノプラットフォームでは、NordicのnRF9160を使用してすぐに試せる環境が準備されています。それらを使って早速、さくらのモノプラットフォームを試してみたいと思います。 ◢◤準備 さくらのモノプラットフォームの設定については、下記ドキュメントを参考にしました。  さくらのモノプラットフォーム:ドキュメント 下記3つを設定するだけでさくらのモノプラットフォームは使用可能となります。 1.さくらのセキュアモバイルコネクトで使用するSIMを登録。2.さくらのモノプラットフォームでプロジェクトを作成3.さくらのモノプラットフォームでサービスアダプタを作成  *WebSocket、Incomming Webhook、Outgoing Webhookなど 続いて、nRF9160 DKに書き込むソフトウェアの準備です。nRF9160 DKで使用可能なソフトウェアはGithub(さくらインターネットのアカウント)で用意されています。 *現時点ではNordicの開発環境:nRF Connect SDKのv2.4.2に対応しています。 *ビルド済みのHEXファイルの物も用意されているため、直ぐに試す事が可能です。 ドキュメントに記載されている内容にしたがってダウンロードします。 ソフトウェアをビルドしてnRF9160に書き込むことで準備は完了です。 nRF9160 DKの動作確認のためにターミナルソフトのTeraTermを使用します。ソフトウェアを起動させて接続が完了するとTeraTermの画面に”+++ Ready +++”が表示されます。 モノプラットフォームのWebSocketには10秒毎にKeepAliveが表示されます。 ◢◤WebSocketを使用したデータの送受信 さくらインターネットが用意しているソフトウェアでは、データ受信やファイル送受信などのコマンドが用意されています。  コマンド一覧 まずはデータ送信を試します。TeraTermから$$TXコマンドでデータを送信してみます。送信するデータは、tagは”01″、typeは”20″の文字列、valueはASCIIコードで”303132333435″(012345)を指定します。 WebSocketのログ上で受信データが確認します。 tagは”01″、typeはstring-utf8の文字列、valueは”012345″(ASCIIコードで”303132333435″)が正しく受信出来ています。 続いてWebSocketからデータを送り、nRF9160 DKで受信してみたいと思います。 WebSocketの”メッセージ送信”で必要な情報を入力して送信ボタンを押します。タグは”01″、タイプは文字列、値は”123ABC”(ASCIIコードで”313233414243″)を指定します。 送信ボタンを押すと、データが送信され”notify”のログが表示されます。 TeraTermで$$RXを入力してnRF9160 DKでデータ受信をします。 Websocketで送信した数値の、タグは”01″、タイプは”20″の文字列、受信データ数は6byte、値はASCIIコードの”313233414243″(123ABC)が正しく受信出来ています。 ◢◤ファイル送受信機能を使用したファイルの送受信 続いてファイルの送受信機能を試してみます。送信するファイルはさくらインターネットのロゴ:13,824 バイト(0x3600Byte)を使用してみます。 さくらインターネットが用意しているソフトウェアではファイル転送にXMODEMを使用しているため、TeraTermからXMODEMを使用してファイル転送を行います。 使用するコマンドは$$FPUTです。送信するファイルのサイズは必ず16進数8桁にする必要があり、注意が必要です。任意のファイル名を指定して、送信するサイズ0x3600(13,824 バイト)を指定します。ここで指定したファイル名がモノプラットフォーム側で表示される名前となります。 続いてXMODEMで、実際に送信するファイルを指定して送信を開始します。 送信が完了したら、モノプラットフォームのプロジェクトの”ファイル送受信”で確認します。 ファイル名もサイズも正しく転送されているのが確認出来ます。 続いてファイルの受信を試してみます。使用するコマンドは$$FGETです。モノプラットフォームのプロジェクトの中あるファイル名を指定します。 続いてXMODEMで、パソコンに保存する名前を指定して受信します。 受信出来たファイルを確認してみましたが、正しく画像として表示されました。 ◢◤Webhookを使用した外部サーバーとの接続 今まではさくらのモノプラットフォームとnRF9160 DKとのデータのやり取りでした。次に外部サーバーとのやり取りをするためにWebhook機能を使います。サーバーはさくらのクラウドを使用し、アプリケーションはNode-redを使用しました。  *Node-REDは,JS Foundationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。…