nRF Connect SDK 環境構築方法(V3.0.0編)

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 2025年4月末にNordicデバイスのソフトウェア開発に使用するnRF connect SDKのVersion3.0.0がリリースされました。(現時点での最新版はVersion3.0.1です。v3.0.0とv3.0.1のセットアップ方法は同じです)それに伴い過去のVersionとセットアップ方法に若干の変更がある為、本コラムでVersion3.0.0での開発環境構築方法についてご説明いたします。なお、アップデート内容については各VersionのRelease notesをご参照ください。 ※本コラムはNordicが公開しているDevacademyを元に作成しています。より細かい情報及び他Versionでの構築方法についてはnRF Connect SDK Fundamentalsをご参照ください。 ◆Step 1:SEGGER J-Link v8.18のインストール まずはSEGGER J-Link Software からSEGGER J-Link v8.18をダウンロードします。インストール中に「Choose optional components」ウィンドウが表示されたら、「Install Legacy USB Driver for J-Link」を選択してください。 ◆Step 2:nRF Util と nrfutil device commandのインストール NordicのHPよりnRF Utilの最新版をハードディスク上のお好きなフォルダにダウンロードします。 nrfutil.exeを保存したフォルダのパスをユーザー環境変数のPathに追加します。(例えば保存先が C:\nordic_tools の場合) ダウンロードしたnRF Utilには開発に必要なDevice commandが含まれていない為、ターミナルソフト(コマンドプロンプトなど)で次の2つのコマンドを実行しDevice commandをインストールします。 nrfutil self-upgradenrfutil install device ◆Step 3:Visual Studio Codeのインストール つぎに、Visual Studio code(以下VScode)をダウンロードし、インストールします。このVScodeはオープンソースの統合開発環境でNordicデバイス以外でも多く使用されています。 ◆Step 4:nRF…

nRF9151をATコマンドだけで制御してみよう

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 以前のコラムで nRF9151の開発導入情報 というコラムを上げましたが、今回のコラムでは実際にnRF9151でATコマンドだけで制御してみたいと思います。基本的なATコマンドの内容についてはnRF9160とほぼ変わりませんので以前投稿した以下のコラムも併せてご参照下さい。  コラム:nRF9160をATコマンドだけで制御してみよう コラム:nRF9160をATコマンドだけで制御してみよう:その2 ◢◤nRF9160とnRF9151のATコマンドの違い Modem Firmwareが1.3.xから2.x.xに変更になった事によりいくつかの機能の変更/追加がありました。 その中で対応するATコマンドにも、追加、削除、機能追加されたものがあります。  *詳細は各ATコマンドのドキュメントをご参照頂ければと思います  〇追加されたATコマンド  AT+CMMS:SMSリレープロトコルリンクの継続性の制御  AT%DEVICEUUID:デバイス固有のUUIDの読み取り  AT%SMSDISABLE:NB-IoT時のSMSサービスを無効  AT%EXCEPTIONALDATA:PDN接続における例外データの送信を有効にします*NB-IoTのみ  AT%FEACONF:モデムの設定可能な機能の設定  AT%POWERCLASS:デバイスの送信電力クラスの設定と読み出し  AT%UICCPOWERSAVE:電力を節約するためのUICC 非アクティブ化の設定  AT%PALL:PLMN 選択手順で許可される PLMN と許可されない PLMN のリストの設定  〇削除されたATコマンド  AT%XRAI・・・RAIの機能はAT%RAIコマンドで制御  AT%REL14FEAT・・・デフォルトでRel14に対応しているため  AT%XRFTEST・・・プロダクションテストイメージファームウェアで利用可能  〇機能が追加されたATコマンド  AT%XPRODDONE  AT%XSYSTEMMODE  AT%XMODEMSLEEP  AT%MDMEV  AT+CGEV  AT%APNRATECTRL  AT%XMONITOR  AT%REDMOB  AT%CMNG ◢◤nRF9151 DKをATコマンドで動かしてみよう nRF9151 DKは出荷時にATコマンドで動作する Serial LTE Modem のファームウェアが書き込まれています。 またnF9151 DKにはOnomondo社とWireless LogicFree社のSIMが同梱されています。 そのためnRF9151 DKに付属のSIMを挿してパソコンにつなぐだけですぐにATコマンドによる動作確認が可能となっています。  では早速動かしてみたいと思います。  nRF9151 DKにSIMを挿してパソコンにつなげたあとに、パソコンのターミナルソフトを起動させます。 ターミナルソフトは何でも構いませんが、今回はNordicが用意している “nRF Connect fot Desktop” の “Serial Terminal” を使用します。  *ターミナルソフトの設定は下記となります。        ターミナルソフトを起動させて接続が完了すると “Ready” が表示されます。  *Readyが表示されない場合はResetボタンを押してみてください。  〇基地局への接続  PCに接続した直後の状態でも “AT+CFUN=1” を実行すれば時間はかかりますが基地局に接続します。  ただ、キャリアやバンド指定することで接続時間が短くなるため、その設定をしていきます。  またその他のATコマンドも併せてご紹介します。  今回使用したATコマンドは下記です。     AT+COPS:今回はDocomo(44010)に接続  AT+XBANDLOCK:1,3,8,18,19のみ許可  AT+XSYSTEMMODE:今回はLTE-Mのみ使用する設定  AT+CEREG:ログ出力設定  AT+CFUN:基地局に接続   ログ(+CEREG:5 xxx)から基地局に接続出来ていることが分かります。   AWSへの接続もとても簡単に行えます。  Serial LTE ModemではMQTT用のATコマンドも用意されています。    MQTT Client AT command…