チャネルサウンディング ソリューション

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 2024年9月に発表されたBluetooth規格「Bluetooth 6.0」で追加された新機能の一つが「Channel Sounding(チャネルサウンディング)」です。本技術によりBLE無線信号(2.4GHz)を使用し2つのデバイス間の距離を測定することができます。本コラムではチャネルサウンディングの概要とNordicが提供するソリューションをご紹介いたします。 ◢◤チャネルサウンディングの測距技術チャネルサウンディングではInitiator(イニシエーター)とReflector(リフレクター)の2つのBLEデバイス間の距離をPBRとRTTの2種類の方式で推定します。 ・Initiator:自デバイスから対向デバイス(Reflecter)までの距離を算出するデバイス・Reflector:Initiatorに応答するデバイス ◆PBR(Phase-Based Ranging:位相ベース測距) PBRでは、InitiatorがReflectorに信号を送信し、Reflectorが信号を返します。このプロセスは複数の周波数にわたって繰り返されます。デバイス間の距離は、これらの周波数における送信信号と受信信号の位相差に基づいて計算します。位相情報からの距離推定は複雑になりますが、RTTや過去にあったRSSIを使った測距と比較すると高い精度で測距することが可能です。 ◆RTT(Round Trip Time:往復時間) RTTでは、Initiatorが暗号的にスクランブルされたパケットをReflectorに送信し、Reflectorがパケットを返します。その後、パケットの往復にかかった時間であるToF(Time of Flight:飛行時間)に基づいて、デバイス間の距離を計算します。PBRと比較すると精度は劣りますが、時間の不可逆性によりセキュリティ面において高い安全性を確保することができます。 これらの方式から取得した、PBRのRawデータやRTTからのToFはBLEスタックの仕様の一部です。ですがこのデータを元に距離に変換する、測距アルゴリズムはBLEスタックには含まれていない為、ユーザーにて実装する必要があります。 Nordicは無償提供しているnRF Connect SDKのサンプルソフトに独自の測距アルゴリズムを組み込んでいます。この測距アルゴリズムにより、ユーザーそれぞれの使用環境でのチャネルサウンディングによる測距を簡単に評価することが可能です。 ◢◤Nordic チャネルサウンディング ソリューション ◆サポートデバイス – nRF54Lシリーズ – チャネルサウンディングをサポートしているデバイスはNordicが昨年末にリリースした新デバイス、nRF54Lシリーズとなります。 nRF54LシリーズはBLEで定評のあるnRF52及びnRF53シリーズの後継と位置付けられ高い処理能力、低消費電力、最先端のセキュリティに対応した画期的なSoCです。 nRF54Lシリーズでは現在nRF54L15、L10、L05の3つをラインナップしています。これら3製品の違いはメモリサイズのみ(図右下)であり、その他の機能・性能は共通となっております。 nRF54Lシリーズでの開発に関する情報については下記のコラムをご参照ください。 nRF54L15 開発導入情報 ◆評価ボード(nRF54L15 Development Kit) nRF54L15を使用したチャネルサウンディングの評価にはnRF54L15 Development Kit(通称:DK)を使用します。 nRF54L15DK上にデバッガが搭載されているのでこのボード単体でnRF54L15のすべての機能の評価が可能です。 ◆ソフトウェア開発環境(nRF Connect SDK) nRF54Lシリーズのソフトウェア開発にはnRF Connect SDKを使用します。 チャネルサウンディングのサンプルソフトもこのSDKに含まれています。※注意: 測距アルゴリズムを含むサンプルソフトはnRF Connect SDK V3.0.0で追加されました。    チャネルサウンディングの評価を行う際は必ずV3.0.0以降をご使用ください。 nRF Connect SDK V3.0.0…

MEEQ SIMを使ってみた

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 2024年5月に弊社の親会社である加賀電子株式会社が ミーク株式会社様 に出資を行いました。   ミーク株式会社への出資に関するお知らせ ミーク株式会社様では直感的なコンソール画面を通じて、簡単にIoT向け通信サービスを購入/決済/登録/管理ができるNoCode IoT/DX Platformを展開しています。また、国内の主要3キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)に加え、海外約180の国・地域で利用可能なSIMを用意されています。プランも低価格のものから大容量データを扱えるものなど様々なプランを用意しています。 また、ミーク株式会社様の動作確認済みデバイスにNordic Semiconductor社のnRF9160およびnRF9151が登録されています。   動作確認済みデバイス 今回のコラムではミーク株式会社様から検証用のSIMを入手しましたので早速試してみたいと思います。 ◢◤アカウント作成 まずはアカウントの作成です。アカウント作成は MEEQコンソール から行います。 “初めてMEEQをご利用するお客様はこちら” から登録を行います。コンソールの操作方法については右上の “?” から各種ドキュメントが確認できます。 必要事項を入力して下部にある “登録する” を選択します。“登録する” を選択してからしばらくすると先ほど入力したメールアドレス宛に 認証コード と 登録用のURL のメールが届きます。 URLを開き、認証コードを入力したら登録完了となり、MEEQのコンソール画面へと遷移します。 ◢◤コンソール画面 つづいて検証用SIMのアクティベーションです。コンソールの上部にある “SIM” のタブを選択すると “検証用SIMアクティベーション” が表示されます 必要事項を入力して “登録する” を選択します。登録に必要なPassWord、電話番号、製造番号/ICCIDはSIMカードに記載されています。 登録が終わると下記のように申請ステータスが “申請依頼中” となります。 この状態ではSIMのステータスが “未アクティベーション” 状態なのでまだSIMは使えません。 しばらく待つと申請ステータスが “完了” となります。 申請が完了するとSIMのステータスも “利用中” になります。 ◢◤動作確認 SIMが利用可能な状態となったので実際に動作確認をしてみたいと思います。評価環境は下記です。   Hardware:nRF9151 DK  Software:Serial…