Power Management IC:nPM1304リリース

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 Nordic Semiconductor社がPower Management ICの新製品「nPM1304」の量産が開始されました。  ニュースリリース nPM1304は、NordicのnPM1300 PMICを補完するもので、高集積の超低消費電力ソリューションと、スマートリング、ボディセンサ、その他の小型バッテリ アプリケーション向けの高精度バッテリ残量推定機能を備えています。 小型バッテリ製品向けにユニークなシステム管理機能と、業界初の超低消費電力精密バッテリ残量推定機能を提供します。Nordic独自のアルゴリズムを基にしたバッテリ残量推定手法は、電圧、電流、温度の監視データと数理バッテリモデルを用いてバッテリの充電状態を推定します。この手法は、クーロンカウンターのようなバッテリ残量推定専用デバイスに匹敵する精度が得られる一方で、消費電力の増大や内在的な誤差の累積はありません。 最大効率とコンパクトなサイズに向けて最適化されており、I2C互換のTWI (Two Wire Interface)経由で設定変更が可能です。このインターフェイスにより、2ボタンハードリセット、バッテリ残量表示、システムレベルのウォッチドッグ、電源断警告、ブート失敗からのリカバリ、さまざまな高度システム管理機能に簡単にアクセスして設定できます。これらの機能は通常、組み込み設計ではディスクリート部品として実装されますが、これらを1つの小型パッケージに統合することで、システム設計をシンプルにし、必要な部品点数を減らします。 nPM1304は、NordicのnRF52、nRF53、nRF54L、nRF54Hシリーズ無線マルチプロトコルSoCに加え、その他のマイコン(MCU)の電源も管理でき、優れた効率と小型化を実現します。 主な機能 バッテリーチャージャー:JEITA準拠 3.5V to 4.65V、チャージ電流:4mA to 100mA 入力電圧:4.0V to 5.5V 出力電圧:2.3V to 5.5V 過電流保護:22V USB電流:1500mA 降圧レギュレータ:2系統、出力電圧1.0V to 3.3V (200mA) バッテリ電圧:2.3V to 4.65V 動作温度:-40℃ to 85℃ パッケージサイズはQFN 5mm x 5mm および WLCSP 3.1mm x 2.4mmで提供されます。 評価ボード(nPM1304 EK)も用意されていますので、ご興味ございましたら弊社のお問い合わせ にご連絡ください。 今後もNordicの紹介及びコラムにて色々な情報を公開致しますので是非ご確認ください。 また、Facebookでも随時情報を公開しておりますので合わせてご確認ください。

チャネルサウンディング ソリューション

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 2024年9月に発表されたBluetooth規格「Bluetooth 6.0」で追加された新機能の一つが「Channel Sounding(チャネルサウンディング)」です。本技術によりBLE無線信号(2.4GHz)を使用し2つのデバイス間の距離を測定することができます。本コラムではチャネルサウンディングの概要とNordicが提供するソリューションをご紹介いたします。 ◢◤チャネルサウンディングの測距技術チャネルサウンディングではInitiator(イニシエーター)とReflector(リフレクター)の2つのBLEデバイス間の距離をPBRとRTTの2種類の方式で推定します。 ・Initiator:自デバイスから対向デバイス(Reflecter)までの距離を算出するデバイス・Reflector:Initiatorに応答するデバイス ◆PBR(Phase-Based Ranging:位相ベース測距) PBRでは、InitiatorがReflectorに信号を送信し、Reflectorが信号を返します。このプロセスは複数の周波数にわたって繰り返されます。デバイス間の距離は、これらの周波数における送信信号と受信信号の位相差に基づいて計算します。位相情報からの距離推定は複雑になりますが、RTTや過去にあったRSSIを使った測距と比較すると高い精度で測距することが可能です。 ◆RTT(Round Trip Time:往復時間) RTTでは、Initiatorが暗号的にスクランブルされたパケットをReflectorに送信し、Reflectorがパケットを返します。その後、パケットの往復にかかった時間であるToF(Time of Flight:飛行時間)に基づいて、デバイス間の距離を計算します。PBRと比較すると精度は劣りますが、時間の不可逆性によりセキュリティ面において高い安全性を確保することができます。 これらの方式から取得した、PBRのRawデータやRTTからのToFはBLEスタックの仕様の一部です。ですがこのデータを元に距離に変換する、測距アルゴリズムはBLEスタックには含まれていない為、ユーザーにて実装する必要があります。 Nordicは無償提供しているnRF Connect SDKのサンプルソフトに独自の測距アルゴリズムを組み込んでいます。この測距アルゴリズムにより、ユーザーそれぞれの使用環境でのチャネルサウンディングによる測距を簡単に評価することが可能です。 ◢◤Nordic チャネルサウンディング ソリューション ◆サポートデバイス – nRF54Lシリーズ – チャネルサウンディングをサポートしているデバイスはNordicが昨年末にリリースした新デバイス、nRF54Lシリーズとなります。 nRF54LシリーズはBLEで定評のあるnRF52及びnRF53シリーズの後継と位置付けられ高い処理能力、低消費電力、最先端のセキュリティに対応した画期的なSoCです。 nRF54Lシリーズでは現在nRF54L15、L10、L05の3つをラインナップしています。これら3製品の違いはメモリサイズのみ(図右下)であり、その他の機能・性能は共通となっております。 nRF54Lシリーズでの開発に関する情報については下記のコラムをご参照ください。 nRF54L15 開発導入情報 ◆評価ボード(nRF54L15 Development Kit) nRF54L15を使用したチャネルサウンディングの評価にはnRF54L15 Development Kit(通称:DK)を使用します。 nRF54L15DK上にデバッガが搭載されているのでこのボード単体でnRF54L15のすべての機能の評価が可能です。 ◆ソフトウェア開発環境(nRF Connect SDK) nRF54Lシリーズのソフトウェア開発にはnRF Connect SDKを使用します。 チャネルサウンディングのサンプルソフトもこのSDKに含まれています。※注意: 測距アルゴリズムを含むサンプルソフトはnRF Connect SDK V3.0.0で追加されました。    チャネルサウンディングの評価を行う際は必ずV3.0.0以降をご使用ください。 nRF Connect SDK V3.0.0…