nRF9160をATコマンドだけで制御してみよう:その2

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 以前”nRF9160をATコマンドだけで制御してみよう”というコラムを投稿しましたが、今回はNordicが用意しているSerial LTE Modem(以降SLM)のサンプルプロジェクトのみで使用出来るATコマンドについて紹介したいと思います。 SLMにはNordicが作ったATコマンドがいくつか用意されています。これらを使うことによってHTTPやMQTTなどの通信プロファイルが簡単に扱えたり、電力制御やnRF91シリーズの周辺機能をATコマンドから制御出来るようになります。また、独自でカスタムATコマンドを作ることで自分が欲しい機能を追加する事ができ、外部MCUの処理の負担を減らすことができます。 前回のコラムのおさらいも含めてnRF91シリーズのATコマンドについて説明します。nRF91シリーズで使用できるATコマンドは大きく分けて3種類あります。    AT+XXX:標準的なATコマンド   AT%XXX:Nordic独自のATコマンド   AT#XXX:SLMのサンプルプロジェクトみで使用可能なATコマンド AT+XXXやAT%XXXのATコマンドを受信するとModem processor側で処理しますが、SLMのみで使用出来るAT#XXXの ATコマンドはApplicaton processor側で処理します。 SLMで用意しているAT#XXXで実際にどのような処理を行っているかはサンプルプロジェクトのソースコードで確認することができます。   SLMのソースコード(Github) また、SLMに独自のカスタムATコマンドを追加する方法も公開されています。   カスタムATコマンドの作り方 それではSLMで用意されているATコマンドについて見ていきたいと思います。 ※紹介するATコマンドはnRF Connect SDK v2.6.1のSLMに含まれているものとなります。  新しいnRF Conenct SDKがリリースされたら対応するATコマンドに変更がある可能性はあります。 ◢◤SLMのATコマンド   SLMでは下記コマンドが準備されています。   〇汎用コマンド     Generic AT commands   〇接続関連     CMUX AT commands     Socket AT commands   〇通信プロトコル     FTP AT commands     HTTP client AT commands     ICMP AT commands     LwM2M carrier library AT commands     MQTT client AT commands…

nRF9160をATコマンドだけで制御してみよう

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 NordicのnRF91シリーズは一つのチップの中にアプリケーションMCUとモデムを統合しているため、ワンチップでネットワークへ接続出来ることが特徴となっていますが、別のMCUからATコマンドを入力して動作するような構成も実現可能です。 UARTでATコマンドを入れるだけで制御可能です。送受信するデータ量が多い場合はハードウェアフローを使用することをお勧めします。 今回のコラムではnRF9160 DKを使用したATコマンドの事例をご紹介したいと思います。 ◢◤準備 nRF9160はブランク(プログラムが書き込まれていない状態)で出荷されます。そのためATコマンドの評価をするためにNordicが用意しているサンプルプロジェクト:Serial LTE Modem(以降SLM)を使用します。 SLMのサンプルプロジェクトはNordicのHPからダウンロードすることが可能です。  nRF9160 DK application and modem firmware この記事を書いている時の最新バージョンは”2024-03-13_af2b60d2″となります。 ダウンロードしたZIPファイルの中の”nrf9160dk_fw_2024-03-13_af2b60d2\img_app_bl”フォルダにある“nrf9160dk_serial_lte_modem_2024-03-13_af2b60d2.hex”を使用します。 nRF9160への書き込みはnRF Connect for DesktopのProgrammerを使用します。  nRF Connect for Desktop:Download  nRF Connect for Desktop:ドキュメント Programmerを使用することでModem Firmware(以降MFW)やApplication Firmwareを書き込む事が可能です。  Programmer:ドキュメント  Programmer:使用方法 nRF9160 DKの準備はこれで以上となります。 あとはパソコン側の設定となります。 ATコマンドの確認はnRF connect for Desktopの”serial terminal”を使用します。 *他のターミナルソフトでも代用可能です。serial terminalの場合であればCOMポートは自動で選択されます。nRF9160 DKのリセットボタンを押した時に”Ready”が表示されるの確認したり、”AT”と入力して”OK”と返ってくれば接続成功です。  Serial Terminal:ドキュメント ”Ready”が表示されなかったり、”OK”が返ってこない場合は違うCOMポートを選択して試してみて下さい。  serial terminal以外のターミナルソフトを使用される場合は少し注意が必要です。SLMが書き込まれたnRF9160 DKとPCを接続するとCOMポートが3つ表示されます。 nRF9160 DKのUARTのポートをパソコンがどの順番で認識したかによって、ATコマンドで使用出来るCOMポートが変わってきます。 COMポートの設定は下記となります。…