Nordic コラム一覧

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 Nordic製品に関するコラムをカテゴリーごとに分類して一覧表にしました。(最終更新日:2025/11/19) ◢◤開発環境 nRF Connect SDK 環境構築方法(V3.0.0編)   nRF Connect SDK versin 3.0.0の開発環境構築方法について(最終更新日:2025.05.20) DevAcademyに新コース:Cellular IoT Fundamentalsが追加されました Nordicのオンライン学習プラットフォームであるDevAcademyに追加されたCellular IoT Fundamentalsについての紹介(最終更新日:2022.10.28) DevAcademyに新コース:Bluetooth Low Energy Fundamentalsが追加されました Nordicのオンライン学習プラットフォームであるDevAcademyに追加されたBluetooth Low Energy Fundamentalsについての紹介(最終更新日:2023.04.18) DevAcademyに新コース:Wi-Fi Fundamentalsが追加されました Nordicのオンライン学習プラットフォームであるDevAcademyに追加されたWi-Fi Fundamentalsについての紹介(最終更新日:2024.02.22) DevAcademyに新コース:nRF Connect SDK Intermediateが追加されました Nordicのオンライン学習プラットフォームであるDevAcademyに追加されたnRF Connect SDK Intermediateについての紹介(最終更新日:2024.03.18) DevAcademyに新コース:nRF54L Series Express Courseが追加されました Nordicのオンライン学習プラットフォームであるDevAcademyに追加されたnRF54L Series Express Courseについての紹介(最終更新日:2025.09.29) ◢◤Short Range(BLE/Thread/Zigbee/ANT) Nordic  Power Profiler KitⅡ(PPK2)による消費電流測定方法    加賀FE製BLEモジュールとNordic製消費電流測定ツールPower Profiler…

nRF52とnRF54Lの仕様差異と設計ワンポイントアドバイス

こんにちは。加賀デバイスのNordic Teamです。 nRF54Lシリーズがリリースされ、様々な媒体でnRF54Lシリーズの特徴が公開されています。特に高性能化、低消費電力化が最大の特徴として上げれていますが、nRF54LシリーズはnRF52シリーズと比較して、いくつか異なる点があります。nRF52シリーズで設計・開発の経験がある方からすると、戸惑うところもあるかと思います。そこで今回は、nRF52シリーズとnRF54Lシリーズでの設計上、特に大きく異なる3点を下記にて紹介致します。 1.NVM(不揮発性メモリ)2.内部電源(レギュレータ) 3.GPIO ピンアサイン ◢◤1.NVM(不揮発性メモリ)nRF54Lシリーズのデータシートを見ると、nRF52シリーズでは”Flash”と記載されていた箇所が“NVM(RRAM)”に変わっている事がわかります。 NVMとはNon-volatile memory 、つまり不揮発性メモリを指します。nRF52シリーズではNVMにFlashメモリを採用していましたが、nRF54LシリーズではRRAM(抵抗変化型)メモリを採用しています。 一般的にRRAMとFlashを比較すると下記の違いがあります。 Flash メモリ RRAM メモリ 書き込み方式 書き込み前に消去が必要(Erase-before-write) 消去不要で直接上書き可能(Over write) 書き込み速度 遅い(消去・書き込み時間が長い) 速い(消去不要で即時書き込み) 消費電力 書き込み時に比較的高い 書き込み時に低い 耐久性 書き換え・消去回数制限有(ウェアレベリング必須) 高耐久(書き換え回数が多い) RRAMメモリの場合、ファームウェアの書き込み/消去時は特に意識する必要はないですが、ユーザーアプリケーションからストレージとして使用する場合は注意が必要です。 Flashメモリをストレージとして使用する場合、NVS(Non-Volatile Storage)というサブシステムを使用していましたが、RRAMメモリではZMS(Zephyr Memory Storage)を使用する必要があります。ZMSでは書き込みと消去のサイクル数を削減し、不揮発性メモリの寿命を延ばす柔軟なデータ管理システムを採用しています。 TechDocsに使用方法など詳細が記載されているので、nRF54LシリーズでNVMをストレージとして使用する際はご一読ください。 ◢◤2.内部電源(レギュレータ) nRF52シリーズでは内部電源にLDOを使用するのか、DC/DCを使用するのかをユーザーが選択することができました。一方、nRF54Lシリーズでは起動時のみLDOが使用され、その後はDC/DCでの動作のみがサポートされています(LDOは初期化時専用) nRF54LシリーズではLDOを使い続けることは想定されておらず、DC/DCでの運用が必須です。外部インダクタが未接続の場合はLDOのままですが、これは異常状態として検出されます。 この設計方針は、最新プロセス技術とシステム全体の省電力化を最大限に活かすためのもので、nRF54LシリーズはnRF52シリーズと比較して、アクティブ時・無線通信時ともに消費電流が大幅に低減しています。 データシートの”Current consumption”(消費電流)の項の条件も、nRF52シリーズでは基本LDOでの値が記載されており、DC/DCの場合は項目ごとに条件に追記されていましたが、nRF54LシリーズではDC/DCの値のみ記載されている点ご注意ください。 ◢◤3.GPIO ピンアサイン nRF52シリーズではほとんどのピンが汎用的に使用でき、どの周辺機能にも割り当て可能でした(一部アナログ/NFC/クリスタル用ピンを除く) nRF54Lシリーズではパワードメイン(※後述)毎に周辺機能とGPIOが分かれているので、ピンアサインやGPIOの機能を使用する際に考慮する必要があります。 この違いは内部電源構造の違いによるものです。nRF52シリーズではすべてのGPIOが同じ内部電源管理下にありましたが、nRF54Lシリーズではパワードメインを分けて、それぞれ独立して電源管理を行っています。 SoCに複数のパワードメインを実装する主な理由の一つは、低消費電力動作を実現することです。各ドメインに個別に電源を供給できるようにすることで、チップの大部分を必要のないときにオフにすることができ、消費電力の低減に貢献します。 ◆パワードメイン nRF54L シリーズのアーキテクチャは 4 つのパワードメインに分かれています。 ●1. MCUドメイン(MCU PD)主な用途:高性能な処理(最大128MHz)を必要とする機能含まれる機能:Arm Cortex-M33、RISC-Vコプロセッサ、高速通信(HS-SPIなど)周辺機能No:0から始まる(例:UARTE00など)専用GPIO:P2…